ついに出合った人生ドラマ「私の解放日誌」。
人生ドラマ(인생 드라마 インセンドゥラマ) とは、人生の中で最も感銘を受けた作品のこと。
これまで好きすぎて何周もしたドラマはいくつもあるけど、
停滞していた私の人生を前に押し出してくれたのは「私の解放日誌」が初めて。
最初に2話を見た時は、まさかこのドラマが私の人生を助けてくれるなんて思いもしなかったけれど、
改めて見返すと、胸を突くシーンがたくさんあります。
それでは、2話の解説&感想スタートです。
注:以下、完全なる主観です。また、ネタバレを含みます。
「私の解放日誌」第2話 解説&感想
ミジョンとク氏の始まりの始まり
2話は、ク氏がミジョンの郵便物を受け取るシーンからスタートします。
工場の前で郵便バイクが来るのを待つク氏。
1話では誰とも一言もしゃべらず、人と関係を築くことを遮断して生きているように見えたク氏ですが、ミジョンのために配達員の姿を確認すると、走っていきます。しかも、この日の気温は40度。
ミジョンからの頼まれごとをこうして引き受けたことについて、ク氏役のソン・ソックは、
「3きょうだいの中でも、ミジョンは自分と通じる部分があると感じていたんだと思う。だから、家族に知られたくないという彼女の願いを聞き入れたんじゃないかな。きっとキジョンからの頼みごとだったら、ク氏は受けなかったと思う」
と、語っています。
人と関わることを避け、自分が何者で、どこから来たのかも明かさないク氏と
人との関わりを「労働」だと感じているミジョン。
同じような生きにくさを抱えた二人の、最初の関わりであり、
これから始まる壮大な関係の「始まりの始まり」がこのシーンでした。
改めて見ると、配達員を遠くに見つけ、走っていく寸前のク氏のしぐさや、
郵便物を目にして、何か感づいたような表情が印象的です。
ミジョン、キジョン、ヒョナの強さと弱さ
ヒョナの誕生日を祝うために集まったサンポ市の幼なじみたち。
キジョンは、社内のあらゆる女性と付き合う上司の悪口をブツブツ。「他人の恋愛に口出しするな」と言うチャンヒに、「なぜ私だけ避けるよ!」と本音をポロリ。
恋愛対象に見られないどころか、会社中の社員に配っているロットももらったことがなく、のけ者にされていることへの怒り。つまり、キジョンが上司を嫌悪するのは、「疎外感」からでした。
「ああ、わかる、、、」と思わず同意。この疎外された時に感じる虚しさや寂しさ。
ただキジョンのすごいところは、それを怒りに変えて、発散できるところ。さらに「美人はいても、私よりも魅力的な女性はいない」、「私は自分が好き」、「私は魅力にあふれた女」と自分を褒め称えもする。それも人前で堂々と言葉にして。
ミジョンが5話でク氏に話したように、言葉は
「言った瞬間ウソじゃなくなる。それが真実になる」
が、真理。
内に溜めずに、すべてを言葉にできるキジョン、なかなかすごい女です。
2年もの間付き合っている男が、新しいシングルベッドを購入したことで、「要は私と結婚する気がないのよ」、「私じゃダメってことでしょ」と、荒れながらも落ち込むヒョナ。
「本人に聞いてみれば」とキジョンに促されるが、それもできないと言う。
自らを「自由恋愛主義者」と称し、好き勝手に生きているかのようで、実のところ、付き合っている男に、言いたいことも言えず、本当の自分をさらすこともできない。
(分かる。だって怖いもの・・・。)
普段は言葉数が多いのに、肝心な時には何も言えないヒョナ。
そんな自身の弱さを自覚しているからか、自分が発する言葉には何も意味がないと言いつつ、よく人のことを観察しているし、深く理解している。
ミジョンに向けて発した「言葉で人を惑わそうとしないから好き。あんたの言葉は一つ一つが尊い」
は、最大の褒め言葉であり、ミジョンの存在を丸ごと受け止めている愛情深い言葉でした。
会社でも、家でも、幼なじみと一緒にいても、率先してペラペラとおしゃべrりすることがなく、「私の話しなんて、誰も聞きたがらない」と決め込んでいるミジョン。
しかし、人一倍感受性が強くて、いつも心の中ではいろんな思いが駆けめぐっていることが、帰り道の一人語りでよく表現されていました。
「みんなが幸せになれればいい。真夏の空のように、一点の曇りもなく」
ミジョンのこの言葉は「私の解放日誌」のポスターに刻まれた言葉であり、
ミジョン役のキム・ジウォンが心に残るセリフのひとつとして選んだものでもありました。
ミジョンが心から欲する世界であり、ともすれば「私の解放日誌」はこの言葉の世界を目指して歩む人々のストーリーなのかもしれません。
韓国中で流行した言葉「チュアンヘヨ(あがめて)」
2話の衝撃的なラストシーン。
会社では、上司から露骨なダメ出しを食らい、
同僚たちは楽しそうにグアム旅行を計画しているのに、声すらかからず、
プライベートでは、元彼の借金を背負わされ、
さらにその男は元カノが住む外国に逃避したと言う事実を突きつけられたミジョン。
家の軒先でお酒を飲むク氏の元へ行き、彼に投げた言葉が
「私をあがめて」
でした。
なんと、インパクトの強い言葉・・・。
ミジョンが抱える苦悩の度合いを知らしめる言葉にしては、
あまりにも意外な上、耳慣れない言葉だけに感じたことのない衝撃が走りました。
このシーンは韓国でも大きな話題になりました。
そもそも、「あがめる」に当たる韓国語 추앙(チュアン)は、日常で使用されることがないため、
視聴者のほとんどが、このシーンの直後にケータイで、추앙(チュアン)を検索したとか。
そう、ク氏のように笑
視聴者だけでなく、ミジョン役のキム・ジウォンも、初めて台本を読んだ時、より正確な意味を知りたくて、やっぱり辞書を引いたそう。
このドラマの放映以降、SNSで急速に広がり、チュアン(추앙:あがめる)は流行語にまでなりました。
ところで、この「私をあがめて」の直前のシーン。
人生の何もかもに疲弊したミジョンが暗闇を歩きながら、ふと足を止めて、何かを決意したかのように、また歩き出した先は「光のある場所」でした。
これからのストーリーを暗示しているかのようです。重いのに、とても素敵なシーンです。
ドラマはストーリーもさることながら、こうした映像の演出があって面白いですよね。
以上です。3話の解説&感想はこちら
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。